禁断の恋はじめます
私たち家族は啓吾を失った。


両親も私も
啓吾の魂の抜けた
肉体にしがみついて
泣き続けた。

お別れの日

「友之 祥子
啓吾を…お返しします…。」


母がそう言って
送り出した。


数時間後
変わり果てた姿で戻ってきた啓吾
私は立っているのもやっとだった。


勇樹が私の腰を支えてくれた。


「頑張れ…。啓吾が
どっかで見てるから。」




 啓吾の顔がはっきりと
 思い出せない


「ごめんね…啓吾…。」



私はそう言いながら
愛した人の骨を拾う。



啓吾の最後の瞬間に
気づいてあげられなかった
それだけが心残りだった。



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