禁断の恋はじめます
全てを終えて骨になった
啓吾を連れて帰ってきて
私たちは


疲れ果てていた。



啓吾の部屋に行っていた母が
どたばたと降りてきて


「こんなものが……。」

興奮した顔で叫んだ。
それは啓吾が


私たち家族にあてた手紙だった。



『池端家のみなさん
これを読んでいる時 もしかしたら
俺はここにはいないのかもしれない。
もしそうであったとしても
ここで家族として暮した日々は
幸せだった。
ありがとう感謝します。
もし俺の死を嘆いてくれていたとしたら
早く立ち直って それぞれの
人生を俺の分まで生きて下さい。
そしてあと何十年後 順番に俺に
会いに来てください。
それまでどうか お幸せに……

    池端 啓吾   』


「啓吾らしいな。
もうクヨクヨするのはやめよう。
啓吾が言うように
啓吾の分まで生きて行こう。
な?ママ 朱奈。」

父の声に
私と母も大きくうなづいた。


啓吾は太陽だから
私たちが元気になるように
温かい魔法をかけてくれた。


「啓吾の分まで……。」
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