禁断の恋はじめます
窓が開く音がして
私は驚いた。


むこうも驚いていた。


「おかえり…」


頬がカ~ァっとなる自分
心うらはら

そんな自分を奮い立たせた。


「おう」


啓吾はいつものように
丁寧にユニフォームを外にかけた。


「朱奈…」


「ん?」



「つき…」
啓吾が奈々しかけてきた。



「月ね…めっちゃキレイだよね…。
今日はウサギも見えそうな~」
私が答えると



「あ…ほんとだ…」


啓吾も手をとめて
月の方向を眺めてた。


兄妹だからこうして
長く一緒にいられる……
同じものを見て
一緒に感動できて

喜んだり笑ったり
悲しんだり泣いたり

そんな時一緒に入れるのは
うちらが家族だからなんだ。


会いたい時に会える


それがいい


啓吾はおにいちゃん


「おにいちゃん……
明日もきっといい天気だよね。」


その日から
私は啓吾と呼ぶのをやめた。


 好きでした


啓吾の背中に
心がつぶやく……

あきらめた心とうらはらに
ざわめいているけど……
この恋が叶うことは絶対にないから…
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