禁断の恋はじめます
啓吾は勇樹とのことを
何も聞かなかった。


  多分知ってる


なのに啓吾はあえて
何も言わないのか
興味ないのか


うちら変わったことと言えば
私が


「おにいちゃん」
と呼びだしたことだった。



「あれ 最近おにいちゃんって
呼ぶわね?」


ママがやっと気づいたのか
そう言った。


「うん…
そう呼んでも啓吾がなんも
言わなくなったから
ちょっと憧れてたから……」


今さらとなんだか
疑問に思われたらいやだから
慌ててそう答えた。



「啓吾はどうして
おにいちゃんって
呼ばれたくないのかな。」


ママが少し悲しい顔をした気が
一瞬私の胸に刺さった。



「そうね…おにいちゃんなら
我慢しないといけないから…
啓吾と朱奈は一歳違いでしょ?
まだまだ甘えたかったのかも
知れないね……」


ママの顔はキレイだった。


「母親ってすごいね…」
思わずそう言ったら


「どうして?」とママが笑う。


「今 ママがマリア様に見えた~」
私はそのままママに
抱きついた。


「どうしたの?」


「うん…私ここから
生まれてきたのかって…
なんか嬉しくなったから……」


ママは私の頭を撫ぜながら

「おかしな子ね…」って
笑った。
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