アヲイモリ
ガラッ
病院に着いた私は、お母さんがいるという部屋のドアを勢いよく開けた。
「お母さん!!」
「あっ…小崎さんの娘さん?」
お母さんの寝ているベッドの横に、佐々木というネームプレートを首から下げている白衣を着た若い医者が立っていた。
「はい、小崎素子です。あの…っ、お母さんは!?」
「大丈夫。一命は取りとめたから」
「よかったぁ…」
一番聞きたかった言葉が聞けた。
『素子のお母さんが事故にあったみたいなんだ』
私は先生の言葉を思い出していた。
『すぐに救急車で病院に運ばれたらしいけど…大事故だったらしいんだ』
『え。じゃあ…』
『まだどうかは分からない。早く行ってあげなさい』
この時は、お母さんが死んでしまったんじゃないかって…すごく怖かった。
「あの、母は…寝ているんですか?」
一向にお母さんは起き上がろうとしないから聞いてみた。
私の声は聞こえてると思うけど────…
「そのことなんだけど…」
先生の口調が重くなった。