アヲイモリ
「そんな顔しないの。こんなんじゃあ、お母さんを守れないだろ?」
そう言いながら、アオイは私の頭を優しくなでてくれた。
そんなアオイの手は大きくて、すごく温かかった。
「アオイ…お母さんを助けて?」
私はか細い、頼りない声で言った。
お願いアオイ。
私のお母さんを……私の唯一の家族を助けて────…!!!
「…………」
アオイは、無言で私の目を数秒見つめた。
「わかった」
そう言ってアオイは私にほほ笑んでくれた。
「ありがとう!アオイ!!!」
私は思わず立ち上がってしまった。
これでお母さんが助かる…!
そう思うと、胸がすごくドキドキしてきた。
「でもね、素子にも頑張ってもらわないといけないんだ。それでも良い?」
「う、うん」
私は再び椅子に座った。
何だろう。私が頑張らないといけないことって────?