アヲイモリ
子猫は心配性
「お母さん、おはよ~。今日はいつもより来るの遅くなっちゃった」
「…………」
アオイに会ってから半月は過ぎようとしている。
以前としてお母さんが起きる気配はない。
「素子さん、今日も来てたんだね」
「先生…」
病室の花瓶の花を換えている私に声をかけてきたのは、佐々木先生だった。
「あ、ごめんね邪魔しちゃって…すぐ行くから。じゃ、素子さんも無理しないようにね」
「はい。じゃあまた…」
バタンッ
「はあ…」
ドアが閉じると同時にため息をついた。
「お母さん、私、今日はもう帰るね。寄るところあるから」
「…………」
────返事してよ、お母さん
「じゃあ、また明日ね」
私は逃げるように病室を出て行った。