アヲイモリ



「どうしよう。帰れない…」


どこから来て、どうやってここに来たのか まったく覚えてない。

これだから方向音痴はイヤだ。



ガサガサッ

「ひっ」


な、なんだぁ…風で木の葉が揺れただけか。


ていうか、何か出てきそうだよね。この時間帯。

どうしよう!!熊とか出てきたら。




「何、してるの?」

私の背中に低い声がぶつかった。




────…今のは空耳?

────…それともオバケ?




「ちょっと、聞こえてる?迷子なんだろ??」

「あ…あ…」


怖くて、声がする方を見れなかった。




「…何で背ぇ向けてんの」


声がだんだん近づいてくる────

もう、この際どうにでもなれっ!!!



「…な、何でしょうか」


私が恐る恐る後ろを振り向くと、そこにいたのは…


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