アヲイモリ




「迷子なんだろ?」

「………は、はい…っ」


なんとも言い表せられない雰囲気を持った人だった。


カッコいいのはカッコいいんだけど…

独特の空気を持った人、っていうのかな。




「…着いてきて」

名前が分からない男の人は、くるっと振り向いてスタスタと行ってしまう。



その足取りに迷いはなかった。

────この森に住んでるのかな?


そう思ったりもしたけど、さすがにこの森で暮らすような人はいないだろうと、私は自分を疑った。



「着いたよ」

その声と共に、ピタリと足の動きが止まった。



「…ここって────…」


私の目の前には大きな家が建っていた。





「俺、ここに住んでるんだ」




ほ、本当に住んでるんだ。この森に。


< 4 / 20 >

この作品をシェア

pagetop