アヲイモリ
「迷子なんだろ?」
「………は、はい…っ」
なんとも言い表せられない雰囲気を持った人だった。
カッコいいのはカッコいいんだけど…
独特の空気を持った人、っていうのかな。
「…着いてきて」
名前が分からない男の人は、くるっと振り向いてスタスタと行ってしまう。
その足取りに迷いはなかった。
────この森に住んでるのかな?
そう思ったりもしたけど、さすがにこの森で暮らすような人はいないだろうと、私は自分を疑った。
「着いたよ」
その声と共に、ピタリと足の動きが止まった。
「…ここって────…」
私の目の前には大きな家が建っていた。
「俺、ここに住んでるんだ」
ほ、本当に住んでるんだ。この森に。