アヲイモリ




場所が分からないのに、そんなに噂になってるんだ。



「本当に、何でも叶えてくれるの?」

「そうらしいよ、噂だけどね。でも、本当に困ってる人にかそのカフェに行けないみたいなの」


本当に困ってる人、か。

私はそんなに困ってないからきっと行けないだろうな。




「春美は行きたいの?」


「当たり前じゃん!何でも願い事叶えてくれるんだよ。素子は?」


「私は…そこまで叶えてほしい事ないからね」


「へぇ。でも、きっといつか必要とする時が来ると思うよ」





────本当に来るのかな

この時私はこのカフェをまったく必要としていなかった。







あの日になるまでは。


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