お隣りのあなた。
それから少しの間その小さな公園で遊んだ。と言っても遊具は随分と限られていたので2人共すぐに飽きてしまい、最終的にはベンチに座ってくだらない話をした。今晩のご飯はハンバーグがいいだとか、テレビアニメのキャラの話とか。

今振り返ればどうでもいいことばかりだったが、当日のわたしには重大な内容ばかりだった。それはきっとななちゃんも一緒だったと思う。

「菜乃子ちゃん」
「…なあに?」

幼稚園のお遊戯の話を遮ってななちゃんがわたしの名前を呼んだ。ななちゃんの声が真剣で、ふざけているようなものには思えなかったので緊張した。

「もし、もしも、なずなが菜乃子ちゃんにひみつにしてることがあるって言ったら、…菜乃子ちゃんは、おこる?」

ちゃーりーの尻尾を指に絡めては解いて。絡めては解いて。ななちゃんは下を俯きながらわたしを見ようとしなかった。

「……なずなのこと、キライになっちゃう?」
「キライになんてならないよ!」

なんで秘密を持つことが嫌いに繋がるのかはよくわからなかったが、わたしがななちゃんを嫌いになるはず無いのだ。絶対に。有り得ない。
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