お隣りのあなた。
「…ほんとに?」

ななちゃんはちゃーりーの尻尾をいじるのをやめるとわたしを見た。

「ほんとだよ!」

力強く応えれば、ななちゃんは目尻に涙を少し溜めながら笑った。
わたしはななちゃんの笑った顔が好きだったから、なんだか嬉しくなってわたしも笑った。

「だって、ななちゃんのことだいすきだもん!キライになんてならないよ」

ななちゃんを喜ばせたくて、恥ずかしかったが思い切って言ってみた。勿論、大好きなのは嘘でなく真実だったが、やはり気恥ずかしいものがあった。

「…っ……」
「ななちゃん?」

また笑ってくれると思ってたななちゃんは急にちゃーりーを顔に押し当てて小さくうずくまった。もしかして大好きはよく無かったのだろうか。

「…な、ななちゃん?」
「………わ、わた、しも」

ちゃーりーに顔を押し付けているせいかくぐもった声だった。その声の中に何かを堪えているのが分かった。

「…わたしも、菜乃子ちゃんが、だ」
「なずな…?」

突然、聞き慣れた声。
思わず声の主を見れば、ア然とした顔でわたしたちの顔を見ていた。

「あなたたち、何やってるの……!?」

最初は驚きを隠せないような声は、次第に怒りを含んだ声になっていた。

「……まま」

ななちゃんが聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟いた。

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