お隣りのあなた。

幼少期編


ななちゃんちがわたしの家の隣に越して来たのは、わたしが5歳の誕生日を迎えた日よりも少し後のことだった。
初めてななちゃんを見た時、わたしは即座に

「お人形さんみたい!」

そう言った。ななちゃんはそれくらいかわいらしい子だった。それに付け加えてお人形みたいな可愛くてきらびやかな服を着ていて、かわいらしい猫のお人形を持っていた。もうななちゃんがお人形でもいいんじゃないか、なんて幼いながらに思った。

ななちゃんのお母さんも美人で、ドラマとかに出てきそうな人だった。ウチのお母さんとは大違いだ。なんだかこの人からななちゃんが生まれてきたのが納得できる。しかもそんな美人がわたしのお母さんと親友だなんて、奇跡だ。神様の素敵な悪戯だ!神様、ありがとう!

当時のわたしには2人はキラキラ輝いた別世界の人に思えた。

「(これがセレブとしょみんの差か…!)」

考えて、少し虚しくなった。同時に少し羨ましくも思った。

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