お隣りのあなた。



教室に入ってからもわたしの体調が整う事はなかった。

「やっぱり保健室行って休んだ方がいいよ」

カナの昨日の英語の小テストが輝いて見える。
満点のカナのテストに対してわたしのテストは悲惨だった。わたしはテストを小さく折りたたみながら、頷く。

「ちょっと、休む」
「うん。それがいいよ」

カナに軽く支えられながらも保健室へ。

保健室の先生はわたしの顔を見たとたんすぐさま「休みなさい!」の一言。押し込まれるようにしてわたしはベッドの上に横たわる。

保健室にあるベッドは2つ。わたしが来た時点で既に隣接したもう1つのベッドはカーテンで遮られていた。わたし以外にも体調を崩して休んでいる人が居るようだ。見知らぬ相手に勝手に仲間意識を抱いていると、保健室の先生によってシャッ、とカーテンを閉められた。白いカーテンに先生とカナのシルエットがぼんやりと写り、2人は少し会話をしたあと一緒に保健室をでていった。

「(病人おいてきぼりかよ…)ま、いっか」

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