お隣りのあなた。


保健室のベッドはフカフカしていて好きだ。わたしは身を委ね、少し寝ようと思った。昨日の事のせいでわたしは疲れているのだ。うん、きっとそうだ。せっかくの休息時間を無駄にする事はない。
わたしはゆっくり重たい瞼を下ろす。

それと同時に、隣のベッドのカーテンが勢いよく開く音が耳に飛び込んできた。

「………」

先生が居ないのに、隣の人は何をしようとしているんだろう。…まあ、わたしには関係の無い事だ。寝よう。
そう思いながらも意識は隣のベッドに向いている。

…あ、今ベッドから降りた音が。
上履き履く音。なんか面白いなあ、ってあれ、音がこっちに近付いてるな。あれ?あれれ?

瞼を開け、横のベッドの方に目を向けると人のシルエットがぼんやり浮かんでいる。高い身長に、ズボン。男子生徒だということが解る。
その見知らぬ男子生徒の手はわたしの寝ているカーテンに伸びたかと思えば、
突然勢いよくカーテンが開いた。

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