お隣りのあなた。
 

起き上がった所を、不機嫌な声が頭上からふってきたと思えば両肩を掴まれてベッドに押し戻された。痛くはないのだが、軽い衝撃がわたしを襲う。頭がグラグラと揺れて気分の悪さに拍車がかかる。

「あんた、気分悪いんだろ。寝てろよ」
「…っ」

不機嫌そうな声にわたしは何も言えず押し黙る。大きなてはわたしの肩を押さえたままで、傍から見ればわたしは押し倒されているように見えるだろう。相手の顔も割と近いし、そう言われても弁解できないような状況だ。

「あ、の!!」
「何?」
「とりあえず、肩の手どけて…くれません?」
「…なんで?」
「なんでって…!誰かに見られたら、えーと、誤解されると思うよ」
「誰もいないし、誤解するやつはいねえよ」
「そういう問題じゃなくて!」
「そーゆー問題じゃん」

相手はこの体制のまま話すらしい。時折息がかかってくすぐったい。それに恥ずかしい。気付いてくれぇ!と心の中で叫ぶ。

「……(あー、)」

…なんだか熱もでてきた気がしてくる。

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