お隣りのあなた。
もう1度、あの藤田という生徒と話したいと思った。話さなければいけない。とも思った。
だから、早めに学校に行って探そうと思っていたのだ。
手掛かりは同じ学年、ということと、キャンディーの付いた携帯電話、苗字が藤田。たったそれだけ。その情報だけで探さなければならない。まあ、相手の顔がなかなかの美形だったし、苗字も解ってる事だし。すぐに見つかるだろう、と豪語していた。
が。
「全然見つかんない…」
「え?なんか言った?」
「んーん。なんでもない」
割と沢山の人に聞いてみたつもりだったけど、見つからない。やはり情報が足りなかったのだろうか。それとも聞く人数が少なかったのか。
カナにも手伝ってもらおうとしたけど、なんだか止められそうな予感がしたし、付き合わせるのも申し訳ない気がして頼めなかった。
タケルに説明するのはめんどくさいし、今はタケルと上手く話せる自信が無かった。
「なんか今日はやけにバタバタしてるね」
「そ、そうかなぁ?そんな事ないけど」
「ほんとに?」
「う、ん。ほんとに」