お隣りのあなた。
ななちゃんと何時間も歩いて、歩いて。止まることを知らないわたしたちは小さな公園にたどり着いた。
遊具は小さく滑り台と、小さな砂場。そして隅にベンチ。

2人でベンチに荷物を置くとベンチのすぐ横にあった水道で汚れた手を洗い、持参したお菓子を食べた。冒険で疲れたわたしには格別美味しく思えた。

「小さな公園だね」

ななちゃんがクッキーをかじりながら膝にちゃーりーを抱えて言った。公園は余り頻繁に手入れを入れられている訳では無いようだ。やや伸びた緑色の草が風が吹く度にゆらゆらと幻想的に揺れた。

「わたし、こんな小さい公園初めて見た」
「なずなもだよ」
「よーちえんの皆、この公園があること知らないよねぇ」
「きっとそうだね。知ってるのはなずなと、菜乃子ちゃんだけだよ、きっと」


ななちゃんと、わたしだけ。

たったのそれだけなのに、ドキドキした。2人だけの秘密なのだ。ななちゃんとわたしだけしか知らない、秘密の場所。
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