弱く儚いモノ達へ





「わかれひんって?」


不安そうな博貴の顔。



「治るって言われて治ったことないねん。増えるのは胸の傷だけ。」
   

切なそうな皆の表情。
痛いほどの皆の視線。




「そんな顔せんといて。僕は生きる。生きるんやから。」
   


大粒の涙が頬を流れる。
その涙を腕で拭う章大。
必死に皆に笑顔を向ける。



「帰ろうや。なぁ。帰ろう?」
   


声を張り上げ皆に訴えかけるすばる。


「何いうてるねん。船は。」


「直ってる。ってか壊れてひんかってん。」
   

亮の言葉を遮る裕。


「やけど。どうやって?今の現在位置もわからんのに。」
   

驚く忠義。


「裕。お前にはわかってるんやろう?お前の力はそれだけやないはずや。」


裕を見る信五。



「ああ。」
   


うなずく裕。







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