弱く儚いモノ達へ
耳を塞ぎしゃがみこむ裕。
血走る瞳。
その目は真っ赤に染まっていく。
「…化け物…化け物…ボクは化け物。」
呪文のように呟く裕。
「気持ち悪い。」
持っているグラスを裕へと投げつける。
頭の上で割れるグラス。
「…き…気持ち悪い…。」
いつのまにか頬を伝い流れる涙。
「そうよ。あんたなんて生むんやなかった。」
裕に向けられる冷たい視線。
裕の首へと手をかける。
苦しくなる呼吸。
必死になってもがく裕。
手を伸ばしたクロスと共に家族そろって映った写真たてが落ちる。
ガッシャン。
ガラスの割れる音。
裕の首から手が離れる。
「うわああああああ。」
壊れたように泣き叫ぶ幼き裕。