弱く儚いモノ達へ
   




「どうしたん?」

様子のおかしい亮の姿に声をかける信五。
   

「…な…んでも…ない…。」

肩で息をする亮。

   
「カメラや。博貴。カメラをしまえ。」


カメラと亮の間に割った入る裕。
慌ててカメラを片付けようとする博貴の手に隆平の肩があたる。
弾みで地面にカメラが落ちる。
   


「あっ。」



落ちたカメラを拾うこともなく見つめている博貴。
   

「ごめん。」


カメラを拾いあげ博貴へとわたす。
カメラを大事そうに抱えたまま微動なにしない。
亮を胸へと引き寄せる裕。
力なく裕の胸へと崩れ落ちる亮。
   


「亮。亮。」



身体を揺らす裕。
その顔に血の気はなく気を失う亮。





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