弱く儚いモノ達へ




サイレン音。
赤く光るライト。
ロープが張られその周りを取り囲む報道陣に野次馬。
頭からかけられた服。
手には手錠が光。
両腕を警官が抱えパトカーへと歩く。
   

「兄ちゃん。兄ちゃん。」


後ろ姿に声をかける亮。
   



「兄ちゃん。嘘やろ。何かの間違えやろう。」



足を止める男。
肩を震わせ声を絞り出す。
   

「…りょ…亮。…ご…ごめん…。」


警官に付き添われパトカーへと乗り込む。
走りだすパトカー。
   



「嘘や。嘘やて言うてや。」




遠ざかっていくパトカーへ叫ぶ亮。
泣き崩れ地面を拳で殴りつける。
そんな亮の姿にカメラのフラッシュが襲う。
   



「やめろ。やめてや。」



声にならない声。
うつむいたまま涙が地面を濡らす。





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