弱く儚いモノ達へ



狭い部屋。
今にでも接がれ落ちそうな壁紙。
丸机だけの質素な部屋の中。
   

「博ちゃん。もうすぐ誕生日やな?」

わびしい食卓を囲む家族。
   

「何か欲しいもんあるんやろう?」
   
「別にええよ。」


素っ気無く返事をする。
   

「遠慮することないで。」
   
「遠慮なんて…。」


箸を止める博貴。
   


「博ちゃんはカメラ欲しいんよね?」



割ってはいる母。
   

「カメラ。カメラ欲しいのか?よし。誕生日プレゼントはカメラやな。」


楽しそうな父の笑顔。
   


「無理せんといてや。カメラって高いんやで。」



不安そうに父を見る博貴。
   

「何。子供が遠慮してんねん。」

豪快に笑う父。
   

「遠慮やなくて心配してんねん。」
   
「博ちゃんに心配されなくても大丈夫よね?」


父と一緒になって笑う母親。







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