弱く儚いモノ達へ
うつむいたままカメラを見つめる博貴。
博貴を見つめる1つの視線。
「亮。」
信五の声に博貴に集まっていた視線が亮へと向く。
「もう。ええんか。」
心配そうに声をかける。
「おう。」
顔色が戻りいつもと変わらない亮の姿。
「心配かけてごめん。」
皆に背を向けぼそりと呟く。
「何 謝っとんねん。お前だけやないねんから。」
背を向けたままの亮の肩を2度軽く叩くすばる。
「やけど驚いたやろう?」
振り向く亮。
その目に光る涙。
「俺がこの船乗った理由。逃げたかってん。今の現実から。この自分自身から。」
こぼれ落ちる涙。
「最後の旅にするつもりやってんな。」
亮を見つめる裕。
「ああ。終わりにするつもりやってん。何もかも。」
「何でや。」
声をつまらせる忠義。
「俺の兄貴。人殺しの汚名かぶって刑務所におんねん。」
静かに語りだす亮。
「ゲームセンター襲撃での店長殺し。」
「こ…殺し。」
言葉を失う隆平。