弱く儚いモノ達へ
「やけど兄貴はそんなことしてひん。やってあの時、兄貴は熱で魘されてる俺の看病しててんから。この手を握ってたんや。人殺しなんて出来る訳がないねん。」
「警察にはそう言ったんやろう?」
悔しそうに拳をにぎるすばる。
「言ったさ。やけどあの時の僕は幼すぎて信憑性がないって判断されてん。」
悔しそうに拳を握り締める。
「そこから地獄やったわ。逃げても逃げても追いかけてくるねん。カメラだけやなく人殺しという名の悪夢も一緒に…。もう。うんざりやってん。そんな現実が…。」
その場に崩れ落ちるように跪く。
「お前がいなくなったら誰が兄貴の無実を証明すんねん。」
亮の肩を抱き寄せる裕。
「そうやで。兄貴を置いてくなや。」
優しく語りかける信五。
「ああああああ。」
裕にすがるように泣き崩れる亮。