弱く儚いモノ達へ
「章大。章大。」
身体を支え震える声で章大の名前を必死に口にする信五。
「しっかりせいや。」
その声に薄目を開ける。
ぼやけた視界の先に映る信五の姿。
「…く…すり…。」
痛みをこらえ声に出す章大。
「何?」
章大の顔に耳を近づける。
「…く…す…り…。」
声にならない声。
「薬?そんなん何処に?」
手に握られた薬袋を信五へと差し出す。
震える手で薬袋を受け取ると中にはたくさんの薬が入っている。
その中から強心剤の薬を手に取ると章大の口へとほうりこむ。