弱く儚いモノ達へ
   






闇を照らす月。
星が輝く空を見つめるように寝転がる8人。
離れた場所で光る真っ赤な炎が寂しそうに風に揺れている。


「綺麗やな。」
   

時おり覗かせる切なそうな瞳。


「こんなふうに空を見ることなんてなかってんもんな。」

「ほんまやな。ただ毎日が何気なく過ぎていく。」


すばるの言葉に同意する忠義。


「何をそんなに急いでいたんやろう?」
   

伸びをする亮。
   

「空を見る時間もないくらいに。」


空を見つめ呟く博貴。 


「いつだって一番近くにあったのにな。」
   

目を瞑る隆平。


「それだけ必死やったってことやろう?」

「溺れてしまわんように泳ぐことにな。」
   

信五に続き苦笑を浮かべ答える裕。


「僕は違ったな。窓から見る空が唯一の楽しみやったんや。生きてるって実感できる時間…。」
   

かすれた声。
皆の視線が章大へと集まる。


「ごめん。何や空気おもなった。」
   

起き上がり作り笑いをこぼす章大。





< 76 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop