弱く儚いモノ達へ
「章大。何か隠してひん?」
「隠してひんよ。これ以上何も。」
忠義に不意をつかれ慌てて否定する。
「ほんまに。」
さらに疑いの目をむける忠義。
「ほんまやって。嘘ついてどうないするん?」
苦笑いをこぼす章大。
「なぁ。隆平は何であの船に乗ってたん?」
隣に寝転がっている隆平に声をかける博貴。
「ずっと不思議やってん。船で隆平見たとき僕等とは違う匂いがしてた。うまく言葉で言えひんけど。」
顔をしかめる隆平。
「やめようや。妙な詮索は。」
間に割って入る裕。
「ごめん。」
謝る博貴。
「…ずっとな…。窮屈やってん。」
弱々しく呟く隆平。