弱く儚いモノ達へ
止まったままの時間。
うつむいたまま涙を腕で拭う章大。
そんな章大にかける言葉も見つからない。
「…い…いつも病院という名の鳥籠の中やった…。物心ついたときには…この胸に無数の傷跡があってん…それからも1つ1つ増えていく傷跡…。もう分かったやろう?心臓がようないって…。」
ぽつりぽつりと語りだす章大。
「詳しい病名は僕には教えてくれひん…やけど…自分の身体のことは自分が一番よう分かってる。分かってるから…。」
涙で濡れた顔で微笑む章大。
「…章大…。」
切なそうな皆の表情。
章大の目をまっすぐ見つめる信五。
「…窓からしか見たことないねん…外の世界…。鳥籠にいるとな。外の世界が見たなる。感じたくなるねん。やからこそ…むちゃ憧れててん。自由に羽ばたける外の世界に…。憧れてたんや…。」
ぐしょぐしょに濡れた顔で空を見上げる。
「飛びたかってん。大空を…空高く…。」
震えた瞳に震えた声。
作り笑いをこぼす章大。
「な…治るんやろう?」
声を絞り出し問いかける隆平。
「わかれひん。」
首を振る章大。