有料散歩
タイムテーブルはこうだ。
6:00 起床 身支度
7:00 朝食
9:00 勉強 おやつ休憩含む
12:00 昼食
13:00 自由時間(やることない場合は散歩)
17:00 風呂
18:00 夕食
19:00 勉強 夏先生と一緒に
21:00 あとは自由
6時起床。
夏の手元を見ていた春樹は、怪訝な表情だ。
多少不快な声音で言う。
「僕、早起き苦手なんだよね。」
「早起きは三文の得。」
「それに、勉強時間少ないよ。僕学校行かないんだからもっとたくさんしなくちゃ。」
「子供は風の子ってよく言うだろう。遊ぶのも大事だよ。」
「遊ぶって。だから、僕体弱いからさ。無理だよ。沢山歩けないし、もちろん走れない。チアノーゼって母さんから聞いてないかな。僕は体を動かすだけでも危険なんだよ。
あんまり外出たこと自体ないし。それに…どうやって遊べばいいのかも、よく知らないし。」
「うん、だから散歩。」
「散歩って言っても、沢山は歩けない。家の回りをちょっと回るくらいだよ。
最初に夏くん呼びに来たでしょ。あそこまでが限界。こんな狭い範囲で散歩したって、なんにもないと思う。」
「いろいろあるよ。春樹くんが見てないだけで。」
自分を枷に嵌めようと微笑みながらも首を振った。今までも色々なことを諦めたり見ない振りをしてきたので慣れていた。誰かに迷惑をかける前に、春樹は笑顔で断る術を身につけてしまっていた。
そんな春樹の様子に、夏は再びにんまりと唇の両端を引き上げた。