倦怠期物語
昔は些細なことで喧嘩になり、激しく言い争ったこともあった。妻も看護師主任をしているだけあって、自分の意見は必ず通そうと主張する。

俺も性格上一歩も引けない。

似たもの夫婦の俺らの喧嘩はいつも平行線だった。

じゃあ何故、即離婚にいたらなかったのか?

もう一つ似てることがあった。
お互い、一晩寝れば忘れるという特技を持っていた。

なんだ馬鹿野郎と、憤りを感じながらベッドに入っても、寝れば忘れる。忘れるというか、感情が薄れてる。

それは妻の方が如実で、翌朝けろっとした顔で「コーヒー入れる?」なんて言ってくるものだから、ほんとあっけに取られる。

「なにがコーヒーだ、ばか」と内心思っていても、口に出せば再び口論になるのでぐっと胸に押し留める。

それが喧嘩の終結。
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