トリップ

それにしても腹が減る。
こんなガタイじゃ腹が減るのも早いだろうな、とキャプテンは冷蔵庫を見る。
ピーマンにタマネギ、ニンジンにハムや卵、残ったご飯もある。
材料を見ただけで、何を作ろうか思い浮かぶ。

「オムライスか」

キャプテンは見かけによらず平均的な料理が出来た。

「エリカちゃんと一緒に食べよっかな?兄貴も弟らもおらんし。」

そう言うと、隣の部屋に向かった。
・・・しかし、チャイムを鳴らしても誰も出てこない。

(まさか・・・いないだとぉう!?)

何だ・・・と溜め息をつきながら、早く帰って来ないかと思いマンションの壁の所まで下りたその時だ。

ガバッと何かが飛び出す。

壁の裏から腕が伸び、影の方にキャプテンを引きずりこんだ。
細い割に力強い腕に締められて動けない。よく見ると、その手はキャプテンの口を覆っており、隙間もなく呼吸できなかった。キャプテンは真っ白になり、習っていた空手を思い出す。いや、この技は一種の護身術だろう。

『腹を肘打ちする』

急いで相手の鳩尾を探ると、鳩尾を肘で突いた。

相手の息が詰まる音がした。

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