トリップ

「バカにしてもらっちゃあ困るよ。うちだってやる時はやるよ。」

本当は慣れているだけだが、とキャプテンは内心で思う。
オムライスを口に運んでいると、ケイラが急に先ほどの男たちについて話し出した。

「・・・言うなよな。あいつらはさ、守り屋っつう・・・要するに文字通りの仕事してる奴らで、たちの悪い事にあいつら・・・」

そう言おうとして、スプーンとともに動きを止める。
と同時に喋る事も止めた。

「・・・どした?」
「このことお前に喋っても・・・意味ねぇよな。」
「そりゃそうやけど・・・聞くだけ聞かせてくれん?途中ってのは嫌やし。」
「・・・いいけどよ、周囲に喋ったりしねぇよな?」
「疑うんやったら最初っから喋らんけりゃよかったやん。」

そうキャプテンに言われると、ケイラは何かブツブツと言いながら話す。

「その守り屋って奴ら、人守る仕事以外にも依頼されて特定の殺し屋を始末する仕事もしてたり、挙句の果てには、目をつけた殺し屋は依頼でなくても殺す、とか・・・俺達の間じゃあ守り屋の裏の仕事とか言うから『裏守り』って呼んでるんだけどよ・・・。」
「へぇそう。」

平然とした態度でキャプテンはオムライスをかき込む。

「・・・お前、こういうこと言われても驚かねぇんだ?普通ならビビるだろ。」
「生憎うちは、そういうグロい話には慣れとるんで。」
「変な女。」

自分のことを言っているのは確かなのに、キャプテンには「女」と言う呼び方が何故かかけ離れたものの様に聞こえる。


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