トリップ
「本っ当にしつこい子んたぁやな。」
「守り屋は皆しぶといみたいだな。」
ケイラが歯ぎしりを立てる音が聞こえる。
「ま、ここにおればいずれいなくなるでしょう。」
「いずれって・・・夜まで張ってたらどうすんだよ。」
「少なくとも、うちの見てきた漫画の中でそこまでしぶとい奴は見たことあらへんし。」
「何でも漫画と一緒にすんじゃねぇよ。」
「小説でも見たことない。」
「小説も同じだっての。」
―そう言われてもなぁ。
キャプテンは深く息を漏らす。
「うちは漫画を基準にしんと考えれんで・・・」
「お前・・・前よりもさらにオタク病ひどくなってねぇか?」
「オタクを病気と一緒にすんじゃない。ゆっとくけど、漫画好きで悪かった事なんて生きとってまだ一つもないで。」
「お前は、だろうが。」
そう言っていると、キャプテンは段々話の拠点からずれていっている事に気づく。
「・・・話戻すけど、取り合いず様子見。夜まで張り込みしとったらそこで何か考えればいいし。」
「お前あいつらを甘く見んじゃねぇよ。もっと気の荒い奴だと家宅捜索する奴もいるんだぜ?」
「そん時は隠れとりゃあ。入ってきた地点で警察に通報するで。」