トリップ
窓から覗かれないようにカーテンを閉めると、本棚から漫画を5冊ほど取り出した。
「漫画でも読んろっか。」
「呑気だなお前。」
そう言いつつも、ケイラは同人誌の方に手を伸ばす。
「ドウジンシ?」
「知らんの?・・・ま、見れば面白いて。」
この言葉で、ケイラはてっきりバトル物かと思ったが、ページを開いて内容を見終わったときには、ケイラの顔は真っ青に変色したようだった。
本を落とすと、ケイラは震える声で言う。
「ば・・・馬鹿かよお前っ・・・!」
「何?BL嫌い?」
「何で男同士でキスしてんだよっ」
「そう言うもの作っとるのが同人誌やて。心踊る話やろ。」
「普通の奴が見れば吐くから!」
キャプテンに背を向けてケイラは荒い息遣いで呼吸する。
一方で、キャプテンは普通の漫画を見ていやらしい笑みを浮かべていた。
「フヘヘヘヘ」
「何やらしい顔してんだよ。つか何見てんの。」
ケイラが覗き込むと、今度は普通の漫画。
内容は殺し屋の話。
主人公は背の高い少年だ。
よく見れば美少年にも見える。