トリップ

しぶしぶ液体を渡すと、ジュマがリクに顔を近づけてヒソヒソと呟いた。
エリカには聞こえないほど小さな声だったが、リクには内容が理解できた。

「・・・黒幕は女子高生?」
「はい。」
「何処かの社長令嬢か?」
「そんな情報は入ってきませんが・・・つい最近殺人企業のよく出入りしている客が、女子高生だったという話があって・・・。」
「そうか・・・。だが、金持ち意外にどこにそんなに雇う金が・・・」

そう言いかけ、リクははっと口をつぐむ。
そして辺りを見回した。

「ありえそうな職業が一つあるぞ。」
「?」
「よく考えてみろ、紅涙学園で殺された生徒は皆どんな人物だった?」
「・・・。あ!・・・皆未来有望の芸能志望者ですね。」
「やっぱりか。」

少しずつ会話が聞こえてきたエリカも、耳を澄まして聞き取ろうとする。

「つまり・・・黒幕は芸能人・・・ってことですか。」
「ああ。自分より優秀な人材が現れたら、人の目は自分よりそちらに目が向く。そうさせないためだろうな。」
「自分の地位を守るためだけに・・・ですか。」
「もしそっち側の人間なら絶対にそうだ。」

それって、ほぼ犯人明確?
エリカは唾を飲み込む。
< 132 / 418 >

この作品をシェア

pagetop