トリップ
「あの子も連れて来ないとダメじゃないか。」
「確かにダメだな。標的を逃がすのは仕事の失敗になるのは。」
そうだろう?と勢いをつけるかのようにリクは息を吸う。
「殺し屋さん。」
「・・・君は、紅涙の守り屋か。」
「知ってたのか。」
男の後ろに回りこんで地下室のドアを閉める。鍵を閉めると、リクは男の方を向いた。
「俺を殺せば依頼は達成できる。そう考えているなら早くかかってきてくれ。早くカタをつけたほうがいい。」
「・・・そうしようか。」
男はそう言うと、腰のバックから小刀のような物を取り出した。
刀のような持ち手だが、刃の部分は刀よりも剣に近い作りになっている。
何よりも、柄の方が刃よりも長い事が特徴だ。
男が先に動いた。
素人のようながむしゃらな動きをしていない所を見ると、多少の実戦は積んでいるようだ。
しかし、実戦経験ではリクの方が遥かに上。
ナイフを出すタイミングを見計らい、まず止める。
突き刺すのではなく、切り付けるような男の体制を見て、リクはナイフを立て向きに立てる。
刃が交差した。
キュリリリという鋭く嫌な音がし、刃先が震える。
男は大分力を入れているようだが、リクは疲れた様子も見せない。
顔に出さないだけか本当に疲れていないのか、当たり前のような表情でいた。