トリップ

返り血がかからないように男から離れると、すぐに後ろに回った。
血が飛んでいないと判断すると、リクはさっさと階段を上がっていった。

・・・・・・

エリカがいるはずの部屋の前で、リクは立ち止まる。
声はするが、数人の声が混じっているためか、判別できない。

(まさか・・・)

途中で捕まったのか、とリクは不安になりそうだったが、あの場でエリカを逃がしたのは正解だったか、部屋から数人の少女とともにエリカが出てきた。

「あ、先輩・・・大丈夫で・・・」
「酷い怪我はしてない。」

エリカの言葉を遮るように、リクが言う。

「君の方こそ、自信はあるのか?」
「分からん・・・。自分では精一杯やったつもりやけど。」
「・・・自分で頑張れたなら、いいだろう。それで。」

リクの言う事は、いつも自然に納得できてしまう。

結果が表で発表される。

『19番、A。』

19番、エリカの番号だ。

「やった!?」
「ああ、そうみたいだな。」

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