トリップ
縁者
・・・シュンリSide・・・
業者に金を受け取ると、ライフルをゴルフバックに詰めて事務所を出た。
今日の標的は悪企業と絡んでいる議員。
仕事や土地を奪われた人々が金を集めて私の所に依頼してきたと、仲介業者が言っていた。
仕事の帰りに八百屋を通ると、小さな栽培養の豆が売られている。
「もやし」と書いてあった。
―あ、髭がある・・・。
キャプテンの部屋で見たことがある。
ついでに、キャプテンと言うのは最近知り合った一般人。
東京生まれではないらしく、標準語とは少し違った話し方だ。
一度仕事場を見られてしまい、彼女は見ていないと言っていたが、あれは確実に見ていただろう。
「でも、その話を話題にしてきた事はなかったなー・・・。」
気を遣ってくれているのか、もしくは殺されるかもしれないからか。
だが、私としてはキャプテンを殺す気は無い。
たとえ彼女が演技で仲良くしてきているとしても、人に多く接してもらえたことが無かった私にとっては、擬似だったとしても無いよりははるかに嬉しい。
「メール・・・してみようかな、暇だし。」
携帯電話に手を伸ばすが、何故か電源がつかない。
首をかしげて色々な部分を探ってみると、どうやら三日も充電していないらしく、充電切れであった。
電車に乗って自分の住んでいるアパートの部屋に入ると、箪笥の中に金を入れる。
箪笥の中をまじまじと見つめながら思った。
―今度あの八百屋で、髭(もやし)買ってみようかな。
育てるのもいいな。
どちらにするかと考えながら上を見ると、ある写真が目に入った。