トリップ
「あれ?キャプテンさん、書かないんですか?いいところなのに。」
「いや、色々あってな…」
「甘いのって苦手ですか?」
「ゴメン、本当は大嫌い。」
「やっぱり」
ジュマが苦笑しながら言う。
「〜じゃあ、この物語を、キャプテンさんの好きなBLだと思えばいいんじゃないですか?」
「それだ!」
彼の提案に、キャプテンは親指を突き出す。
「ふふふ…!いいではないかBL!萌えて来たぜ…!」
「はは…、そっちの萌えですか。さすが腐女子。」
こんな人はじめてだと言うようにジュマは言う。
部活が終わると、キャプテンは学校を出るまでジュマと歩く事にした。
というのも、以前会った高木という先輩に遭遇したくないからである。
そのことをジュマに話すと、彼は少し緊張したような顔で言う。
「でも、そんな所見られて勘違いでもされたら…」
「大丈夫やて。うちも、ジュマがおってくれたほうが心強いし。」
「そ、そんな…私、気弱ですし、心強いなんて…」
「誰かがおってくれれば充分。プロボクサーが一人で幽霊スポットに入れんのと同じやて。」
「いや、納得いかないんですけど…」
「要するに、一人が不安な時は、誰かとおるのが1番ってこと。安心しやーて。一緒に学校出るだけやで。」
呻くような声でしぶしぶジュマが距離をとって歩く。
彼はどうも女子が苦手のようで、チラチラと周りを見ながら歩く。