トリップ
すると、西の方角から校内ベルが鳴り響く。
その方を向くと、ケイラはあることを思い出す。
「キャプテンの制服って、十五条高等だよな。」
一度見ただけだが、あの高校は確かその制服だ。
「もしかしてアイツ、今日学校なのか?」
可能性はある。
そう思うと、なぜか無性に逢いたくなった。やめておこうと言い聞かすが、気付くと、自分の足は勝手に動き、事務所を出ている。
いつもなら思い浮かべても「ふぅん」としか思わなかったのが、なぜだろう。
不思議に思いながら、意味も分からず十五条高等学校に足を運んだ。
………
4限目の授業が終わり、昼休みに入ると、キャプテンは大きく背伸びした。
「グアアア…!腹減ったあ!」
持参したおにぎりを口に運びながら携帯の電源が切ってあるかを確認する。
確認し終わり、今日も晴れているなと思いながら窓の方を向いた。
しかし、その向こう側には違うものが写っていた。
「ギョエーー!!」
思わず声を上げてしまった。それもそのはず。窓の向こう側にいたのはケイラだったのだから。
「あ、キャプテン。」
ケイラもこちらに気付き、手を振って来る。
キャプテンの声に周囲も驚いてケイラの方を向く。
(あ、アイツ〜、何て目立つ事を…第一、なしてここに?)
キャプテンがそう思っているにも関わらず、ケイラはキャプテンに歩み寄る。呆然としているキャプテンの後ろでは、女子の会話も聞こえた。