トリップ

別れ


「エリカッ、合格おめでとう☆」
「ありがとう…」

美喜に学校で言われ、エリカは少し嬉しくなった。今日は合格の知らせを届けるために少しだけ学校に集まっただけだ。

「アンタは終わった後何するの?」
「デパートに買い物。お母さんに頼まれてる物があるから。」
「何〜?この年になってお使い?」
「うん」
「優しいな〜エリカは。」

感心したように言われたため、エリカは照れ気味の顔になる。
昼前、学校を出ようとしたエリカの目にある光景が映った。職員室の中にリクの姿が見えたのだ。

「先輩…」

つい口から声が出てしまう。まさかまた怒られているのだろうか、と心配になったが、どうやらそうではないらしい。

何してるんだろうと、エリカは壁に横たわって声を聞く。

「やっぱり現れたの?殺し屋は。」
「はい、やっぱり狙らわれたのは今回1番合格有望視されていた、一年生のモトジマということで、他には何の被害も」
「なかったのね?」
「はい」
「ちなみに、黒幕は見つかったの?」
「それはまだ…しかし、仲間の情報によれば、この学校の生徒の確率が高いと。」
「…!」

教師が息を詰まらせる音がかすかに聞き取れた。

(この学校の生徒?)

まさか、とエリカは耳を疑う。

「芸能界入りしてる生徒なら、うまくすれば雇えないことも、ないわね」
「一応、合格者もしくは金持ちの子供にも注意しておくべきだと、思います。」

何かを強調するかのような声が、職員室に響く。そんなに大声ではない、むしろ小声に近いくらいだというのに、響いたように聞こえる。

< 168 / 418 >

この作品をシェア

pagetop