トリップ
・・・・
シュンリは下に向けていた顔をキャプテンの方に向けた。
「キャプテン」
「はい?」
いきなりだったため、キャプテンは弾みで一段階トーンの高い声を上げる。
「釘刺スヨウナコト言ウノハ悪イ気ガスルケド、最悪、守リ屋トカ殺シ屋ニツイテ調ベルヨウナ事シチャダメヨ。」
「ああ・・・大丈夫。しーへんしーへん」※(しーへん=しないよ)
シュンリは愚か自分の命まで消えるようなこと、小心者のキャプテンはしようとも考えなかった。
逃げることならいくらでも考えることが出来るのだが。
「あ、ゴメンね。何か心配かけるような表情してまっとった?」
「ウウン、コウイウコト、『コッチノ社会』ジャ普通ナノヨ。」
「そ・・・そうなんや・・・」
(敵に関する注意は裏社会では日常なんか・・・。)
余程危険な世界なのだと、キャプテンは改めて知らされる。
ジッとシュンリの顔を見つめていると、ふとキャプテンはあることを思い出す。
「そういえばシュンリちゃん、あの黒髪の奴に似とるように思うんやけど・・・気のせいかな?」
「!キッ・・・気ノセイヨ!似テルワケナイジャナイ!ア、モウ行カナキャ。」
「あ、ちょっと・・・」
まるでその場しのぎのような展開にキャプテンは呆然とする。
その間にも、シュンリは走り去っていく。
「うち、何てハッチャメチャな展開の本作ってまったんやろ・・・。」
恥ずかしい展開だ。キャプテンは完成したら推敲しようと軽く心に刻む。
一方、シュンリも軽く後悔していた。
(あーもう!アレじゃ怪しい会話じゃないの!自分のバカぁ!)
会話には気をつける事を、シュンリは覚えておくことを決意する。