トリップ
接近

暗い思い出


・・・シュンリSide・・・
 
・・・

「お母さん、この子誰?」

『何?』と電話越しに母の声が聞こえる。私を小さなアパートに置き去り、金を仕送ってくる張本人の声だ。

『天李』と書かれた写真に写る少年を見ながら、私は母に電話で尋ねる。

「もしかして・・・男の子?」
「そうよ」

母が「あ」と言葉を濁し、モゴモゴと舌をもつれさせるのが分かった。

「・・・隠さなきゃいけないほど、ヤバイ人物ってことなの?」

尋問をするような口調で言ってやると、母は震える声で話し出した。

「私の・・・息子」

弟でも出来たのかと思ったが、撮られた年がだいぶ前なので、違うのだと思う。

「あなたの、お兄ちゃんにあたる人、かな・・・」


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