トリップ
「それを知って、何がしたいですか」
「直接お前に用はねぇ。薬ばっかり作ってる下っ端にはな」
「ああそうですか。じゃあ誰に・・・」
「そうだな」
男は集いの場の前まで来ると、顎に手を当てて言う。
「お前らのリーダーに会わせてもらえると、嬉しいな」
「・・・私たちに格差はないし、リーダーはいませんよ」
「なら、この集団で一番強い奴はいるだろ。そいつに会わせろ」
「会って、何がしたいんですか」
「今、俺の業社は人を集めてる。だが、どいつもこいつもザコばっかでよ、それでここに来たんだ。強い奴に来てもらおうと思ってな」
ジュマは焦る。この男をこの集いの場に進入させるべきなのか。リーダーは存在しないが、ここには他の守り屋の群を抜いている人物がいる。
この男も〔経験〕があるように見えた。〔経験〕を積んでいれば、誰が一番強いのか雰囲気だけで分かるだろう。