トリップ

助け


血で服を濡らしたケイラの姿を見たのは、キャプテンだった。同人誌か漫画か、とにかく本の入ったビニール袋を地面に落とし、呆然とした顔で目を開いている。

「え?えぇ・・・?」

目を泳がせて、何から話したらいいのかを探っているような顔だ。ケイラは「来るな」と言おうとしたが、何故か、安心感が膨張して力が更に抜けてしまい、そのまま倒れこむ。

曲がり角に、ジッと真剣にこちらを見ている人物が映った。

・・・キャプテンSide・・・

「何やっとんの・・・?」

最初に出た言葉がこれ。
服を血に染めて、フラフラと歩くケイラを見て、思わず同人誌の入ったビニール袋を落としてしまう。横腹や額、口や腕に血が滲んでいた。

目を泳がせて、どんな言葉をかけてやればいいのかを考える。

『誰と喧嘩したの?』

いや、こんな事を聞いても答えてくれそうに無い。それ以前に、喧嘩と言うレベルの傷ではないだろう。


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