トリップ

他のキャラクター、もしくは主人公がどれだけ痛い目に遭おうが、仲間となるキャラクターを死なすことは絶対にない。

自分のことはよく知らないキャプテンだが、これだけは分かっていた。

「うん。絶対無い」

自分で無意識に呟く。

「何がだよ」
「いや、捕まっても死ぬことは無いってこと」
「根拠は?」
「あらへん」

無いのかよ、とケイラはため息混じりに言う。

「お前って、危険をかえりみないっつうか、その割に呑気っつうか」
「かえりみないって、勇敢みたく言わんといてよ。うち、臆病やし」
「じゃあ何で、追われてること聞いても俺から離れようとしねぇんだよ」
「そんな事・・・」

言われてもな、とキャプテンは悩む。助けたかったからであって(いや、元を辿るとシナリオなのだが)、勇敢に立ち向かおうという気ではない。
いや、むしろそんな人間に出会えたらたたえてやるべきだ。

そう思った後で、キャプテンは「そういえば、これもあるか」と付け足す。

「怖いじゃん、だって」

純粋な答えのつもりだったのだが、ケイラは目を丸くする。

あ、そうか。何が怖いのかを言っていなかった。


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