トリップ
・・・ケイラSide・・・
電話が来てから、俺はすぐに電車に乗った。
やっぱりじゃねぇか。俺は毒づきたくなり、自分の指をつねる。
―いや、俺が悪いのか。
グッと指に力が入る。このまま、血が滲んでもいいと思えた。キャプテンを巻き込んだことの罪滅ぼしなどではなく、自分に対する怒りからだ。
「アイツもアイツで・・・なんのために」
何となく、俺を殺すだけを目的にキャプテンを捕まえたのではないような気がする。もっと違う何かがあって、俺はそのついでのような気がした。
「・・・俺は馬鹿だ」
それはずっと前から分かっていた事なのに、それを改められない自分は、もっと愚かだ。
強く目をつむる。
こんな風になるのなら、2年前、こんな道に足を踏み入れるんじゃなかった、と。
俺の気持ちの揺れにあわせるように、電車は大きく揺れた。
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