トリップ
「チッ、見たのかよ」
「誰誰?」
「・・・俺の兄貴のガキだ」
「ふぅん、可愛いやん」
「褒めても逃がす気はねぇからな」
「はいはい。つまり、姪っ子なんやね」
「ああ、そうだ」
「へぇ、写真撮った履歴が7年前やで、中学生か。可愛くなっとるやろーなー」
そう言うと、不意に小久保は暗い顔で黙り込んだ。眉をしかめ、歯を食いしばるような顔つきになる。
「・・・なってねぇよ」
あまりに沈んだ声だったので、一瞬キャプテンもビクッとした。
「どーゆーこと?」
「どういうも何も、成長してねぇし、もう会えねぇんだよ」
この一言で、キャプテンはハッとして言う。
「死んでまった・・・?」
「そうだよ。兄貴に会いに行って、ちょっと俺が買出しに行った夜にな。俺以外・・・全員だ。死んだってくらいなら、安らかなのによ」
「・・・。もしかして、殺されて・・・」
「っ・・・ああそうだよ、しかも強盗殺人だぜ・・・?!ありえるかよ・・・」
小久保の口元が震えているのが見えた。殺し合いの前にこんな話をされると、どちらにも死んでほしくなくなってしまう。