トリップ
意味わからねぇ、とケイラが額に手の平を当てた。
「普通なら嫌がるだろ。変態とか言われたら」
「それが・・・普通?」
「そうだよ、女ならそう思うだろ」
「・・・。・・・いいし。どうせうちは好かれんし、女みたいじゃないし、性格も顔も。いっそ男呼ばわりされたほうが気が楽になる」
「自分のこと真っすぐ否定すんなよ。自分のこと嫌いなのか?」
「そうではないけど、他人から恋愛感情で好かれる事は、ないな」
さすがに友達にまで嫌われていることはないけど、と付け足す。すると、ケイラは歩く足を止めて、キャプテンの方を向いた。
「逆だな」
「え?」
「友達には好かれるのに、そうじゃないと全然好かれない」
「それがどう・・・」
「俺と、逆なんだって」
「・・・他人には嫌われないのに、友達がいない?」
「そうそれ」
分かってんじゃねぇか、と言いながらケイラは至近距離までキャプテンに近づき、両手で自分の方を向かせて来た。
「人は好きになれるのによ・・・何でかな?」
何か伝えたそうなことが青い瞳に映っているように見えたが、目をこすってから最もと思った答えを口にした。
「殺し屋やからじゃないの?普通に」
「バカ、小学生とか、中学生の時なんだけど」
「んならそう言ってよ」
本気で答えた、とキャプテンは言う。